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三四郎 (岩波文庫)
夏目 漱石
価格: ¥420 (税込)

文庫
出版社: 岩波書店
発売日: 1990/04
ISBN: 4003101065
おすすめ度:5.0
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ストレイシープという呪文
夏目漱石前期三部作の初作。僕は漱石の作品中では一番好きである。

 後期の作品ほどに人間に深刻さや暗さはなく まだ どこかに坊ちゃん等の明るさが残っている作品だ。非常に さっぱりした作品と言えるかもしれない。
 話は 田舎者の三四郎が東京に出てきて 都会に翻弄されつつ 戸惑いながら淡い恋をするという 非常にライトな筋である。よくある話と言ってよい。

 但し それでも 所々に見られる はっとするような「暗さ」が散見されることも確かである。「偉大なる暗闇」先生にしても 滑稽味を帯びながらも自分の若い頃を語る部分に見せる「暗闇」。鉄道自殺を目撃する場面など、既に漱石の後期作品への 布石が見えると言っても良いかと思う。
 美弥子が最後に呪文のように唱える「ストレイシープ」という響きも素晴らしい余韻だ。


 しかし それでも 基本的には 爽やかな青春小説である。今読んでも全く古くないし もっと言うと 「新しい」作品である。
明治の東京
「三四郎」は他の出版社からも出ていますが、個人的に「岩波」が一番読みやすいのでお勧めします。
話の内容は田舎から出てきた三四郎を巡る人間模様と・・・あとは当時の東京の風景でしょう。
正直いって主人公三四郎よりも主人公らしい主人公は
あらゆる人間と文物を内包して拡大発展していく「東京」そのものだったような気がします。
新しい文物を取り入れ発展していく様を物凄く緻密な描写で丹念に描き
まるで読むだけで明治の東京に居るような気分にさせてくれます。
あらゆる新しき出来事に戸惑いながら三四郎は東京で何を見つけたのか?
実ははっきりと描いていないんですよね。
最後の失恋(?)もいつもの日常の中で消えていきましたし。
この小説は何度も読みましたがやっぱり主人公は「東京」だったと思います。
羊は迷ってぐるぐる徘徊し過ぎてジンギスカンになった
『三四郎』です。漱石作品としてはまあ軽くて読み易くて、長さとしてもほどほどでしょうか。
あらすじをご存知ない方のために大雑把に解説しておくと、明治を舞台とした、男子大学生が主人公の恋愛小説です。どんな恋愛かというと、ドロドロなものではなく、韓流ドラマみたいなベタベタ甘々でもなく、純粋な……でも悲恋です。

恋愛小説といえば、世界的名著としてゲーテの『若きウェルテルの悩み』が有名ですが、本作もまた日本文学史上の傑作恋愛小説です。たぶん世界的に見ても有数の作品でしょう。
本作は、『こころ』や『行人』ほどの重いテーマは無いのですが、登場人物が『坊っちゃん』に匹敵するほど個性的で魅力があります。
一言でたとえるならば「羊」であるところの主人公三四郎はもちろんのこと、超マイペースな広田先生、暴走気味だけどなぜか憎めない与次郎、素朴で自然体な感じの妹キャラよし子。そしてヒロインの美禰子。これだけ揃っていれば現代風ドタバタコメディーを新翻案できそうです。
特にミネコは主人公とほぼ同い年ながら年上というイメージ。とらえどころのない謎めいた美女という感じです。結構萌えキャラっぽいです。もちろん現代風の言い方をすれば、であって、当時そのような概念は無かったでしょうし、狙って書いたものでもないのでしょうが。

ラストシーンの三四郎の呟きは印象的です。が、ミネコが○と絵を見に行くシーンは、三四郎に感情移入して読んでいるとツラかったですね。三四郎がもう少し早く動いていれば、というのは確かにあるのですが、なにもそこまでダメ押しして打ちひしがなくても……と思いました。それが現実ってモノでしょうか。ラストが辛かったので敢えて☆4です。
漱石の日本語は四角い。
久しぶりに漱石を眼にすると漱石の日本語は四角いな。と感じます。楷書のような文体。そして堅い樫の木のような音。三四郎という四角四面な青年が、はじめ上京する汽車の中でまず「九州色」の女に翻弄され、そして最後には文京区本郷で「無意識な偽善家」の手に落ちる。女だけではない。先生やら先輩やら男達が若い純な頭を惑わせる。

明治が三四郎になって、ビックリしたり、恐れ入ったり、恥ずかしがったり、慌てたりしているようで楽しい小説。こんな新聞小説が今もあったらいいのになあ〜としみじみ思いました。
新入生の皆さん、是非読んでください
田舎から東京に出て大学に入学した若者の生活が生き生きと描かれています。
新しい生活の中で色々な人と接して三四郎は様々なことを感じ取っていきます。
特に恋心を抱いた相手の美禰子は、ごく自然な態度をとりつつも三四郎の心を翻弄をさせていきます。
(その中には漱石の女性観の一部がみてとれます。)

漱石の作品の中では、とても読みやすいです。
”明治時代の学生の話など読んでも仕方がない”と私も思っていましたが、100年経った今読んでも充分なできばえです。
(漱石の作品の多くがそうであります。夫婦関係を描いたものでは”道草”がおすすめです。)
大学入学したばかりの方、若い方に是非読んでいただきたい。



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