他のレビューでも触れられているとおり、〈博士語〉(そうじゃ、わしが博士じゃ)や〈お嬢様ことば〉(よろしくってよ、オホホ)といった、現実の日本語ではないような変な日本語を紹介するだけでなく、歴史的にもどのように形作られていったのかを明らかにしようとする意欲作です。
しかし本の中にも書かれているとおり、どうしてそんな変なことばを聞いたり読んだりして我々は「あぁ博士がしゃべっているんだな」と認識することができるのでしょうか。さらには「○○だにょ」とか「ぎゃぼ〜!」「うぐぅ」といったよく分からないことばが日々マンガやゲームの中では生産されていきますが、違和感なく(あるかもしれませんが)受容していくことができるのはなぜなのでしょう。これはいろいろな学問分野で取り組むべき問題提起なのではないかと思います。本書を色々な人が読んで、もっと面白い研究が世に出ると良いなと思います。
ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語)
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漫画の白髭の老博士は「○○するのじゃ」と、巻き髪のお嬢様は「良くってよ」と、中国人は「○○アルヨ」と言う。
実際にそんな言葉を使っている人なんていないのに、なぜか一定の役割を表すシンボルのように使われる奇妙な日本語(ヴァーチャル役割語)の起源を現代漫画から江戸時代の読本まで文献資料をひもときつつ探る本。
お嬢様言葉が明治時代の女学校言葉で当時は「乱れた言葉」として批判されていた。時代は変わっても「乱れた日本語」論争はいつの時代にもあるのだなと思った。
戦前の女学校=良家の子女=お嬢様というイメージだけが残り、お嬢様言葉=女学校言葉となったという経緯は興味深い。本書を通じて明らかになるのは、ヴァーチャル役割語が表すイメージには過去、その役割が持っていたイメージに深く関わっているということだ。
よく考えてみると不思議だけど何となく使われている言葉の起源がわかり知的好奇心を満たしてくれる。専門用語もなく、すらすらと読めるので、言語に興味のある人は読んでみると良いのではないだろうか。
実際にそんな言葉を使っている人なんていないのに、なぜか一定の役割を表すシンボルのように使われる奇妙な日本語(ヴァーチャル役割語)の起源を現代漫画から江戸時代の読本まで文献資料をひもときつつ探る本。
お嬢様言葉が明治時代の女学校言葉で当時は「乱れた言葉」として批判されていた。時代は変わっても「乱れた日本語」論争はいつの時代にもあるのだなと思った。
戦前の女学校=良家の子女=お嬢様というイメージだけが残り、お嬢様言葉=女学校言葉となったという経緯は興味深い。本書を通じて明らかになるのは、ヴァーチャル役割語が表すイメージには過去、その役割が持っていたイメージに深く関わっているということだ。
よく考えてみると不思議だけど何となく使われている言葉の起源がわかり知的好奇心を満たしてくれる。専門用語もなく、すらすらと読めるので、言語に興味のある人は読んでみると良いのではないだろうか。
主説は興味深く読めました。
また、役割語をどのように使っているかという視点で、過去に読んだ物語もまた楽しめるようになりました。
また、役割語をどのように使っているかという視点で、過去に読んだ物語もまた楽しめるようになりました。
本書の構成。
大きく2つに分かれております。
1.役割語の誕生とその歴史
2.役割語の使われ方と、作られ方(仮説)
以下は一通りの解説。
1.役割語の誕生とその歴史
本分のメインを締める解説。作者の方曰く、作成途中らしい。
2.役割語の使われ方と、作られ方(仮説)
現実と仮想現実。
現実の中にある位相という社会的クラス分けと、その中で使われている言葉の差。
現実と作品中の話し方はまるで違う。役割語を使う人間は、現実には存在しない。
仮想現実とは物語上のこと。
役割語はその名の通り、役割を端的に表現できる言葉として作品中に使われる。
ステレオタイプとサブタイプ(*その他という意味)への区分け。
先入観によるタイプ分け。
思い込み通りなら、型どおりに区分け。異なる場合は、それ以外と区分けする。
過去から続く、仮想現実上の先入観を上手く利用し、効果的に役割を表すのが役割語の役目。
雑感を少々。
引用についてですが、引用がなけば雰囲気が掴めないので、あった方がいいでしょう。
しかし、明治以前の引用も多く、読んでもいまいち理解できないので、僕は読みませんでした。
あと、比較的簡単な漢字にも、引用にカナをふってくれているのはありがたいと思いました。
読み終わってから気が付いたのですが、子供は役割語が好きでよく使いますね。
特に女の子は女性らしい言葉を多用しているように思います。
何気なく当たり前のように読み流している「物語」の登場人物たちの言葉遣い。それがいかに普段,本当にわたくしたちが晒されている日常の言葉とかけ離れた「ヴァーチャル」なものであるかに気付かせてくれるんですの。で,そうしたステレオタイプの「役割語」が歴史的に,方言地理的に国語史の中で如何に成立したかを,解き明かしてくれるのじゃ。しかも,資料には我輩たちが親しんできたヒーロー,ヒロインものの漫画やアニメが扱われる。そうした登場人物たちへの筆者の眼差しもとても懐が大きく素敵ですこと。数多くある日本語物の中でも大変おすすめアルヨ。



