オクスフォードで博士号を取得、現在コロンビア大学で教える第一線の理論物理学者、ブライアン・グリーンの一般向け書籍。
陽子や中性子、さらにはクォークよりも小さい「ひも」が振動していると考えることで、相対性理論と量子力学の衝突を解消し、
ひいてはアインシュタインが生涯求めた「統一理論」となることが期待されているひも理論について、噛み砕いて述べる。
一般向けとはいえ、目次を見るとなかなか本格的で、果たして理解できるのだろうか?と思ったけれども、
グリーン博士がホストを務めた番組『美しき大宇宙』(DVD、公式のサイトで全編視聴可)が非常にわかりやすかったので、本書も読んでみることにした。
まず、そもそもなぜひも理論が重要でありうるのかを述べた後、最初は相対性理論の解説から始まる。
これがとてもわかりやすく、さまざまな比喩と図のおかげで非常に理解しやすい。
次いで量子力学について概説し、それからひも理論の詳説に入る。ひも自体についてだけでなく、多次元、対称性、ひもの巻きつき方など、
ひも理論にまつわる細かい側面を図と比喩を交えながら数式なしで懇切丁寧に解説していく。
また、ひも理論で宇宙論(ビッグバン等の)がどう論じられそうか、という展望も添えられている。
未だ完成していないうえに、容易に実験で確証することができないために、とりわけ実験を重視する物理学者からの批判も受ける理論である。
しかし、著者の言うように例えこの理論が誤りだったとしても、研究の過程で重要な数学を生み出しており、決して無駄なものではない。
本書は、特に量子力学やひも理論の解説の部分で素人にはわかりにくい部分があるが、巧みな比喩のおかげで、
また本文が細かく章分け・セクション分けされているおかげで、理解しきれない部分があっても読み進むことができる。
巻末には専門的な話も含めた註と用語集が付けられている。
The Elegant Universe: Superstrings, Hidden Dimensions, and the Quest for the Ultimate Theory
Brian Greene
価格: ¥2,097 (税込) ハードカバー 出版社: W W Norton & Co Inc 発売日: 2003/10/20 ISBN: 0393058581 おすすめ度: ![]() Amazon ランキング: 78428位 発送可能時期: 通常24時間以内に発送 ![]() |
超ひも理論のわかりやすい一般向け入門書。
数学的部分もかなりからむ(むしろ大半は数学)である超ひも理論の話だが、数式はまったく出てこない。
面白い比喩による説明も多く、楽しく読みすすめられる。
本書の解説では、著者を「超ひも理論を普通の言葉でわかりやすく語れる数少ない物理学者の一人」と書いているが納得だ。
さて、超ひもの話なのに数式が出てこないわけだから、当然厳密な超ひもの理論は書かれていない。
実際、本書で狙っているのは、厳密な数学的・物理学的論証の理解ではなく、超ひもというものの漠然としたイメージの理解であろう。
もともとこの本は一般向けなのだから、そうした理解で十分である。
この本に厳密な理論的説明を求めるのはそもそも無理というものだろう。
最後に、超ひも理論に対しては根源的批判も存在するということを付記しておく。
批判の詳しい内容を知りたい人は、『迷走する物理学』や『ストリング理論は科学か』などを読んでいただきたい。
数学的部分もかなりからむ(むしろ大半は数学)である超ひも理論の話だが、数式はまったく出てこない。
面白い比喩による説明も多く、楽しく読みすすめられる。
本書の解説では、著者を「超ひも理論を普通の言葉でわかりやすく語れる数少ない物理学者の一人」と書いているが納得だ。
さて、超ひもの話なのに数式が出てこないわけだから、当然厳密な超ひもの理論は書かれていない。
実際、本書で狙っているのは、厳密な数学的・物理学的論証の理解ではなく、超ひもというものの漠然としたイメージの理解であろう。
もともとこの本は一般向けなのだから、そうした理解で十分である。
この本に厳密な理論的説明を求めるのはそもそも無理というものだろう。
最後に、超ひも理論に対しては根源的批判も存在するということを付記しておく。
批判の詳しい内容を知りたい人は、『迷走する物理学』や『ストリング理論は科学か』などを読んでいただきたい。
私、超がつくほど文系の学生時代を送りました。数学?高校1年で終わりました。(しかも赤点で)物理?高校で習ったかしら?という読者の私が「「エレガントな宇宙」が読めたのです。理系の賢い方々にはわかりっこないと思われるかもしれません。けど、概要はつかめました。(多分)私がすきなのは。カラビーヤウ図形。次元を図におこしたものですが、非常に美しい形をしています。この著書に挿入されています物理の挿絵、すべて「エレガント」な形、フォルムで登場しています。芸術的にも美しい本だとおもいます。
なにか新しいことを知ったり理解したときは楽しくなりますが、今回は”わからないのに面白い”という経験をさせてもらいました。
全15章のうち、まず最初の5章は相対性理論と量子力学の話です。それなりに「知っている」レベルの話題でウォームアップです。中盤は超ひも理論への導入で、聞きかじった知識との照合をしながら直感を楽しみます。しかし、終盤にはいり「空間が裂ける」話の第11章から複数の超ひも理論を束ねるM理論につながるあたりでは、思考的には完全に振り切られます。科学と宗教的神話との識別さえできませんでした。
ところが、わからないといって投げ出したくなるわけではなく、実に面白いのです。神話をつむぎだす物理学者群が、現代の神々とも感じられます。こういうことを考え続ける人々の業界が存在することにうれしくなってきます。そのうちの一人が自然言語で説明の限界に挑戦してくれたからこの楽しみを味わえました。
理解はできずとも感じることができれば幸いです。素粒子や宇宙にロマンを感じる人が多いのもそういうことかもしれません。現実の生活には絶対に役に立たないけれど最も本質的なテーマを追求すること自体が、ホモサピエンスの性(さが)なのでしょう。
全15章のうち、まず最初の5章は相対性理論と量子力学の話です。それなりに「知っている」レベルの話題でウォームアップです。中盤は超ひも理論への導入で、聞きかじった知識との照合をしながら直感を楽しみます。しかし、終盤にはいり「空間が裂ける」話の第11章から複数の超ひも理論を束ねるM理論につながるあたりでは、思考的には完全に振り切られます。科学と宗教的神話との識別さえできませんでした。
ところが、わからないといって投げ出したくなるわけではなく、実に面白いのです。神話をつむぎだす物理学者群が、現代の神々とも感じられます。こういうことを考え続ける人々の業界が存在することにうれしくなってきます。そのうちの一人が自然言語で説明の限界に挑戦してくれたからこの楽しみを味わえました。
理解はできずとも感じることができれば幸いです。素粒子や宇宙にロマンを感じる人が多いのもそういうことかもしれません。現実の生活には絶対に役に立たないけれど最も本質的なテーマを追求すること自体が、ホモサピエンスの性(さが)なのでしょう。
今のところ、放り出さずに楽しくページをめくっています。
100%文系のわたしやあなたは、その片鱗でもいいから「相対性理論」や「量子力学」などの先端的科学技術をなんとか理解しようとして、入門書の類を手にします。でも、それらのほとんどは難解な理論を難解なままに、ただ「省略」して提示しているだけなので、結局はなにも理解できないで終わってしまう。残されるのは、「ああ、やっぱりダメだったか」という敗北感というか、自己嫌悪というか、とにかくそんな気分に落ち込みがちですよね。
でも考えてみれば、世界有数の頭脳が幾世代にもわたって研究してきた成果を、100ページや200ページの分量で理解しようとか、理解させようなどというのは無理な話だと思います。科学の専門的な訓練を受けていない人に先端知識の輪郭を理解してもらう試みに正面から取り組むとすれば、どうしてもこの本くらいのボリュームにはなると思うし、この本で著者のグリーンさんは実際、すごく根気よくまじめに、門外漢であるわたしたちに付き合ってくれていると思います。
中学や高校の数学で挫折した人の多くは、抽象的な思考が苦手なのだと思います。目に見えない現象、つまり、量や形や動きなどが具体的にイメージできないことがらを、わたしたちはなかなか理解できない。脳の中のある部分が、たぶん機能停止状態かなにかになっているのでしょうか(笑)。でも、著者の豊富で巧みな比喩に助けられながら、本当は難解であるはずのその世界に足を踏み込んでゆくと、使われていないその脳細胞に血液が流れる感じがピキピキと伝わってきます。新鮮な感覚です。
「木を見て森を見ず」の教えにしたがって森を理解していた人がある日、虫眼鏡を持って森に入ってみたら、それまでに理解していたのとはまったく違う森の姿に出会ってしまった。さぁ、困った。それまで信じていた「木を見て森を見ず」は間違いで、「木を見なければ森は見えない」のだろうか? それとも、これまでまったく知らなかった、「木」や「森」の正しい観察方法があるのだろうか?
下手くそな比喩ですが、この本は、そんな男の冒険物語にも見えてきます。
100%文系のわたしやあなたは、その片鱗でもいいから「相対性理論」や「量子力学」などの先端的科学技術をなんとか理解しようとして、入門書の類を手にします。でも、それらのほとんどは難解な理論を難解なままに、ただ「省略」して提示しているだけなので、結局はなにも理解できないで終わってしまう。残されるのは、「ああ、やっぱりダメだったか」という敗北感というか、自己嫌悪というか、とにかくそんな気分に落ち込みがちですよね。
でも考えてみれば、世界有数の頭脳が幾世代にもわたって研究してきた成果を、100ページや200ページの分量で理解しようとか、理解させようなどというのは無理な話だと思います。科学の専門的な訓練を受けていない人に先端知識の輪郭を理解してもらう試みに正面から取り組むとすれば、どうしてもこの本くらいのボリュームにはなると思うし、この本で著者のグリーンさんは実際、すごく根気よくまじめに、門外漢であるわたしたちに付き合ってくれていると思います。
中学や高校の数学で挫折した人の多くは、抽象的な思考が苦手なのだと思います。目に見えない現象、つまり、量や形や動きなどが具体的にイメージできないことがらを、わたしたちはなかなか理解できない。脳の中のある部分が、たぶん機能停止状態かなにかになっているのでしょうか(笑)。でも、著者の豊富で巧みな比喩に助けられながら、本当は難解であるはずのその世界に足を踏み込んでゆくと、使われていないその脳細胞に血液が流れる感じがピキピキと伝わってきます。新鮮な感覚です。
「木を見て森を見ず」の教えにしたがって森を理解していた人がある日、虫眼鏡を持って森に入ってみたら、それまでに理解していたのとはまったく違う森の姿に出会ってしまった。さぁ、困った。それまで信じていた「木を見て森を見ず」は間違いで、「木を見なければ森は見えない」のだろうか? それとも、これまでまったく知らなかった、「木」や「森」の正しい観察方法があるのだろうか?
下手くそな比喩ですが、この本は、そんな男の冒険物語にも見えてきます。



